BUYERS' RECOMMEND | あのバイヤーが推す最旬アイテム
Vol.48:LIVING
全国のセレクトショップバイヤーの目利きで選び抜かれたアイテムを、そのバイヤーのリアルなコメントと共に紹介する連載企画「バイヤーズ レコメンド」。今回のVol.48に登場する高知県・高知市で自身のセレクトショップ LIVING を手がける伊藤秀幸さんは、T.T の珠玉のレザーアイテムを選出。
Text Takaaki Miyake
LIVING
「衣・空間は常に隣り合わせにある」という考えをもとに、余白を大事にしているというセレクトショップ LIVING の店内には、最新のウェアからヴィンテージ、世界中から取り揃えた洋服や花器、アートや香りのものまで、暮らしを豊かにする様々なアイテムが揃う。その中でも今回はヴィンテージの要素と日本の伝統や技術を洋服に落とし込む、T.T の哲学を体現したような一着がレコメンドとして届いた。
「最近は特に個人的にレザーに敏感で意識していたのかなと思うのですが、ここ近年ジャケットやバックなどレザーアイテムに触れる機会が多く、秋冬のみならず春夏シーズンでもお見かけするほどでした。
レザーの質やデザインはもちろんブランドによって異なりますが、その中でも T.T の提案するレザージャケットの LOT.805 Work Leather Jacket は本質にこだわっているのが手にとるように伝わり、とても惹かれました。
T.T のアイコニックな LOT.703 Denim Jacket c.1920’s をベースに、革の厚みを考慮したディテールを極限まで削ぎ落としたデザイン。さらに使用している革は馬革をピット鞣ししたヌメ革。『ピット鞣しとは?』と思う方も多いですよね。植物樹脂タンニンが入った槽に長時間漬け込む鞣しの方法のことで、約一ヶ月間という長い時間と手間をかけて仕上げる製法の一つになります。これは世界的にも希少で日本でも数社しか行っていないそうです。
そして一枚仕立てで軽量というのも見逃せません。一枚仕立てにすることによって着用シワがつきやすく、個人の体型や癖に合わせたシワ感や色落ちが楽しめます。茶芯の馬革を使用しているため着込むうちに茶色く革の色が落ちていき、独特の経年変化が楽しめます。
T.T のコンセプトでもある100年後に残る衣服を意識して作られたこのレザーは、まさにヴィンテージラバーにはたまらないと思います」
使用する素材から加工の製法まで、とにかくこだわった洋服作りを行う T.T を象徴するようなアイテム。メンズウェアの中ではマストハブなアイテムのレザージャケットだが、なかなか「コレだ」と思えるものに出会うのも至難の業。
オールドスクールな無骨さを感じさせながらも、ディテールをミニマルに抑えることで現代的に仕上げた LOT.805 Work Leather Jacket ならば、きっと手に取りたい方も多いのではないだろうか?
他にも特殊なピット鞣しを用いたヌメ革、一枚仕立てゆえの軽量さなどこだわりを詰め込んだ珠玉のアイテムとなっている。
T.T
LOT.805 WORK LEATHER JACKET ¥297,000
LIVING
https://livingvsr.thebase.in/
https://www.instagram.com/living__vintage
伊藤秀幸
LIVING 代表
1985年生まれ。2018年に古着屋としてお店をオープン。2020年の移転を機にセレクトブランドが徐々に増え、現在では7:3の割合でセレクトブランドを多く展開している。自身も古着好き、そしてお酒も大好き。洋服のみならず良いと思うものを独自の目線でセレクトし、夫婦(+息子)でこのお店の在り方を考えている。