デスティネーション・ストア | HONEYEE.COM的個性派シティガイド
File 062:END ON END.(東京都・玉川台)
スマートフォンでどこにでも行った気になれる時代。むしろスマートフォン片手に「ここにしかない」を体感しに行ってみてはどうだろう。HONEYEE.COMが選んだ“目的地になる店”を紹介する連載「デスティネーション・ストア」。File 062はファッション未開の地であった世田谷区・玉川台に、突如その姿を現したセレクトショップ「END ON END.」。
Text Takaaki Miyake
blurhmsの枠を超えた、新しい表現の場
東京都・世田谷区には三軒茶屋や下北沢など人気の街が数多く存在し、住むだけでなく休日も訪れたくなるエリアの一つだ。そんな世田谷でも静かな時間の流れと穏やかな景色が潜む玉川台に、新たなセレクトショップ「END ON END.」が2025年3月10日(月)にオープンした。
近くには老舗の銭湯も並ぶ住宅街というロケーション。そのエリアに少し違和感のあるコンクリートを基調にした重厚な雰囲気の建物に一歩足を踏み入れると、柔らかな光が差し込む店内が広がる。
この空間の建築から什器、植物などのインテリア、そして商品のセレクトにいたるまで、ほぼその全てをファッションブランド blurhms(ブラームス)のデザイナーである村上圭吾さんがディレクターとして手がけている。
店舗は1階部分のみで、2階はショールームスペース、3階にはオフィス、4階はアトリエが入り、様々な役割が一つの建物内に同居する同店。
自身がデザインする blurhms のフラッグシップストアではなく、あくまでセレクトショップとして作った「END ON END.」から、一体何がこれから始まるのだろうか。
「10代の頃からずっとお店をやりたいと思っていました。それがブランドを始めたことで、いつからかアトリエとショールームが一体となった場所のイメージに変わっていって。ここでは blurhms という一つのブランドだけでは表現できない、自分の頭の中を具現化できれば良いなと考えています」
作り手ゆえのセレクト
ブランドを継続していく中で自然と生まれる、“なんとなく”のイメージや色から解放されることで、新たに生まれる一面や可能性。そんな要素を秘めた「END ON END.」では、村上さんがセレクトしたブランドに加えて古着やインディアンジュエリーなどが並ぶ。
一方でブランドが大切にしている“丁寧さ”や“程よいリラックス感”といった哲学、デザイナーだからこそ持ちうる視点もそこには反映されている。
その中には COMME des GARCONS SHIRT(コム デ ギャルソン・シャツ)や HEUGN(ユーゲン)、BOWTE(バウト)や 佐々木洋品店 など実力派のブランドが名を連ね、2025年秋冬シーズンからは Seya.(セヤ)も加わる。
「自分が尊敬する人やクリエイションから生まれたブランドで、セレクトは構成されています。おこがましいですが、もしかしたら少なからず似た感性や感覚がありつつ、だけど『コレは自分にはできない』みたいな部分が軸になっているのかもしれません」
作り手のフィルターを通した、デザイナーたち本来の意図を汲んだ魅力をここでは伝えてくれそうだ。
情報量を遮断したロケーション
都心へ行けばありとあらゆるモノが揃う現代の東京において、何かのついでに洋服を見に行くことへの違和感からも、このスローなロケーションを選んだ村上さん。
「自分の主観ですが、昔って『あの洋服屋に行こう』って、わざわざでも目指して行っていました。何かのついでにならないよう、情報量が少なくリラックスした環境でお店をやりたかったんです」
「END ON END.」がその扉を開いたのは田園都市線の用賀駅から歩いて10分ほど、大井町線の二子玉川駅にいたっては約25分という立地。まさしく“わざわざ”でないと辿りつかない場所。それでもやはり、ここへ足を運ぶべき理由はしっかりと用意されている。
blurhms の別注アイテムはもちろん、エプロンやバッグ、香水など「END ON END.」としてのオリジナルアイテムもその一つだ。さらに END ON END. × blurhms による、ミリタリーシャツやカーディガンジャケットなどは、間違いなくここでしか手に入らない。
日替わりバリスタのコーヒースタンド「MORENCI COFFEE」も店内に入り、アーティストの 竹内俊太郎 がロゴデザインを手がけ、そのイラストをプリントした限定のTシャツなど訪れるべき理由は尽きない。
相反するバランスを楽しむ
まるで村上さんの頭の中を少し覗き見しているかのような「END ON END.」だが、今後もその展開が楽しみだ。
「少しでも『こういう人なんだ』って自分のことを理解してもらえると、また blurhms にも違った視点が生まれるのかなと思っています」
カジュアルからドレス、古着のTシャツや Edward Green(エドワードグリーン)の別注シューズまでが揃い、そのアンバランスさが心地良いリズムを奏でる「END ON END.」。
一度その“相反するバランス”にじっくり触れてしまえば、誰でも虜になってしまうかもしれない。
DESTINATION STORES | File 62
エンドオンエンド | END ON END.
住所:東京都世田谷区玉川台2-2-8 矢藤第2ビル 1F
営業時間:12:00〜19:00
定休日:水・木曜日
公式サイト:end-on-end.com
Instagram:https://www.instagram.com/end_on_end.official_