MUST-SEE ART | 『創造的な出会いのためのテーマ別展示』@UESHIMA MUSEUM
2025.06.20

空間ごとに広がるテーマと表現が導く、新たなアートとの出会い。ジェームズ・タレルの常設展示も

HONEYEE.COMが、今見ておきたいアート展を毎週金曜日に紹介。この「MUST-SEE ART」を参考に、今週末の“To Doリスト”に加えてみては?

2024年6月、渋谷教育学園内に誕生した「UESHIMA MUSEUM(ウエシマミュージアム)」は、“同時代性”をテーマに国内外の現代アートを紹介しており、柿落としとなった『オープニング』展に続き、同館では新たなコレクション展『創造的な出会いのためのテーマ別展示』を、2025年6月21日(土)よりスタートする。

キュレーションを手がけるのは、「金沢21世紀美術館」で館長を務めた経歴も持つ、国際的に活動する長谷川祐子。本展ではより多様な現代美術の表現を紹介しながら、鑑賞者との新たな関係性や気づきを促すことを目的に、フロアごとに異なるテーマを設定。作品同士の共鳴や空間の流れを通じて、鑑賞者の感覚や想像力を解き放ち、自由な解釈が生まれる構成となっている。

まず“宇宙と重力”をテーマにした地下展示室では、神秘的かつ根源的な体験へと導くボスコ・ソデイ(Bosco Sodi)やロバート・ロンゴ(Robert Longo)らによる作品が並ぶ。続いて都市とポップが交錯する1階の空間には、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)や奈良美智、バンクシー(Banksy)の作品が渋谷の風景と呼応する。

James Turrell「Boris」2002

2階ではゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)の作品が物質とイメージのあわいを静かに照らし、新たに加わったジェームズ・タレル(James Turrell)の常設展示が”見る”という行為の根本に触れる体験を提示。

内省と静けさを誘う抽象絵画を展示する3階には、幾何学的な構成と抑制された色彩が、思考の深層へと導き、4階ではナラティヴと色彩が交差する中で、多国籍の作家たちによる作品が個々の記憶や物語を描き出す。

最後にジャン・ミシェル・オトニエル(Jean-Michel Othoniel)や水戸部七重の作品を中心に展開される“愛と欲望”をめぐる5階では、欲望や人間関係の複雑さを、グリッチやノイズといった現代的感性を通して繊細に表現している。

複数のテーマを横断しながら、多層的な視点で現代美術と向き合う本展。作品と空間、そして鑑賞者とのあいだに生まれる“創造的な出会い”を、ぜひ体感してほしい。

<Information>
『創造的な出会いのためのテーマ別展示』
会期:2025年6月21日(土)~
会場:UESHIMA MUSEUM 東京都渋谷区渋谷一丁目21番18号 渋谷教育学園 植島タワー
営業時間:11:00〜17:00(最終入場16:00)
日時指定Webチケット制:https://ueshima-museum.com/#area-3
休館日:月曜(月曜が祝日の場合は開館、翌平日休館)