BEHIND THE PRODUCT #5
2022.02.17

2022SS注目コラボレーション・アイテム前編

ファッションプロダクトのストーリーやその裏側にあるあれやこれやを、少しだけ厳しい目線と深いプロダクト愛でお届けする連載企画。雑誌『PRODISM』編集長の渡邊敦男と『HONEYEE.COM』編集長の武井幸久、そしてスタイリストの来田拓也が毎回テーマを決めてピックアップしたモノについて縦横無人に語ります。今回は2022SS注目のコラボレーション・アイテムを前後編に分けてお届け。



Edit&Text : Atsuo Watanabe(PRODISM)&Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Styling : Takuya Raita
Photo : Kengo Shimizu


eYe JUNYA WATANABE MAN  × karrimor

“コレだったら率先して着たい気持ちになる”(渡邊)

武井幸久(以下 T):この組み合わせのコラボレーションって、以前もありました?

来田拓也(以下 R):何回かやってますね。

T:THE NORTH FACEとやってるイメージが強いけど。

渡邊敦男(以下 W):いくつかのアウトドアブランドとやってるんですよ。

R:今回もバッグ一体型みたいな感じです。裏側の背面にバッグポケットが付いていて、リバーシブル仕様になっています。

W:表側は普通の表情だね。

R:はい、普通のポケットが付いてるんで、本来はこっちが表として販売されている気がします。

W:だけどこの服の醍醐味は、後ろにリュックが付いているから、裏返して着た方が良いわけでしょ?

R:そうだと思います。

T:渡辺淳弥​​さんって、アウトドアブランドが好きなのかな。昔からコラボレーションが多い印象。

R:他のコラボ先は、Levi’sとかSAINT JAMESみたいなトラッドでアイビー系なブランドが多いですけどね。

W:それにしてもパッと見で良いルックスだよね。

T:パターンにしても、通常のkarrimorとはまるで違う新しいものを作ってそう。

R:前はもっと異素材ミックスよりも、一つのアイテムを再構築してるイメージでした。

W:作り込んでるよね。このポケットの中に物を入れるかは分からないけど、デザインとして見ると面白い感じはします。

R:配色のバランスもいいですよね。

W:karrimorの純正アウターを着る機会ってほとんどないけど、コレだったら率先して着たいって気持ちになるから不思議。

両社幾度目かとなるコラボレーション。アウトドアのディティールやイメージを踏襲しながら、ファッションとしての成立が見事なデザイン。リバーシブルで着用できるのもポイント。

eYe JUNYA WATANABE MAN × Karrimor
JACKET ¥110,000(Comme des Garçons)TEL:03-3486-7611



Champion × N. HOOLYWOOD

“古着マニアの尾花さんとChampionって、シナジーを感じますよね”(来田)

R:昨年のN.HOOLYWOOD20周年コラボから引き続き、Champion × N.HOOLYWOODの新アイテムが登場です。

W:コラボレーションのために形からデザインされたもの?

R:そうですね、リバースウィーブ®︎のサイズを大きくしているみたいです。

T:サイズもそうだし、パターンも変えていますよね?

R:一枚生地で丸みのあるフォルムが出るように設計されてるとのことです。

W: カンガルーポケットじゃないんでしょ?

R:カンガルーポケットの代わりにシームポケットを採用していて、生地はリバースウィーブ®︎に使われる11.5ozで同じものが使われてます。

W:オリジナルと全然違うシルエットに惹かれるよね。

T:まるで別物ですね。けど日本人って何で、こんなにChampionが好きなんだろう?

W:昔からあるブランドだから安心感があるんじゃないですか? スウェットといえばChampionみたいな。前にも言いましたけど、僕はそもそもスウェットにありがたみを感じないから、高いお金を払って買わないけど、昔は古着屋で3,800円ぐらいのChampion製のクルーネックを買ったことはあります。いまではそこそこヴィンテージっぽい雰囲気に育ちましたね(笑)。

T:けど実際リバースウィーブ®︎って何なのか説明できる人って、スタイリストの中でもそんなにいないよね?

R:僕も細かく説明しろって言われたらググっちゃいます(笑)。

T:僕も何回も原稿書いてるけど、改めて何って聞かれると上手く説明できないかも。ここは敦男さんからぜひ。

W:要は縮みにくくて、動きやすいんでしょっていう。

T:(笑)。その縫製方法自体が商標登録されてるんだよね。 

W:やっぱり僕らは特に、リバースウィーブ®︎で作られてると得られる安心感が染み込まれてる世代だから。こういうChampionのレギュラーじゃなくて、N. HOOLYWOODとのコラボとかやると、また更にお金出しても良いかなって。スウェットにお金を使うんだったら、こっちの方がデザインが綺麗だし、こういうモノを買いたいなって。ラックに掛けてあるだけで分かるけど、スリーブがないからドレープが綺麗だもんね。

R:古着マニアの尾花さんとChampionってシナジーを感じますよね。前回のシリーズは結構すぐ完売したみたいです。

W:ショーツも良いね。夏とかは黒が欲しいかも!

R:このセットアップでジョギングとかしてたら、めちゃくちゃカッコイイ(笑)。

W:(映画)『ロッキー』の世界観だね(笑)

古着やアメリカンカジュアルに精通したN. HOOLYWOODデザイナー、尾花大輔らしさ全開とも言えるコラボレーション。Championのヘリテージ要素を汲みながら現代のファッションに通じる上質なスウェットに仕上げている。

Champion × N. HOOLYWOOD
パーカ ¥30,800、スエットパンツ¥28,600(Mister hollywood) TEL : 03-5414-5071
2022年3月4日(金)発売



UNITED ARROWS × HYKE

“HYKEには絶対メンズ展開の待望論があると思う”(武井)

T:これはコラボというよりも別注ですよね。

R:HYKEがウィメンズサイズの3までしかないので、UNITED ARROWSが別注で5まで作って、メンズも着れるようにしたということです。

W:だけど前立てがメンズ仕様じゃん。

R:今回はウィメンズの仕様をメンズに変更して作ってます。

W:単にサイズアップしただけじゃなくて、ディテールも変えているのか。

T:コレは欲しい人たくさんいるでしょ。HYKEってメンズ出してないけどみんな欲しいじゃないですか。

W:素材はナイロン?

R:ポリエステル82%、コットン12%の混合です。シワになりにくそうで、今っぽい独特な生地感ですね。

T:普通の人が見たらミリタリーのジャケットだけど、「アレ、何か違うな」みたいな感じがするのがいいね。

R:HYKEの前身のgreenのときからミリタリー系のデザインはすごく人気ありましたもんね。

T:HYKEのメンズコラボものがよく即完売するのを見ていると、絶対メンズ展開の待望論があると思うんですよ。でも実際調べるとUNITED ARROWSの別注ぐらいでしかアイテムがなくて普通に買おうと思ってもそのくらいしか選択肢がないんですよ。

W:ウィメンズしかやらないのも、HYKEっぽくて面白いと思いますけどね。あとコレはシルエットがDAIWA PIER39とか、そっちのノリっぽい。

R: 素材も近しい感じがしますしね。

T:けどHYKEの場合は、素材の機能性とかを全面に押し出すタイプのブランドではないですよね。

R:HYKEでナイロンっぽい生地感でミリタリー作るって、あんまりなかった気がします。

W:ファンはやっぱり、並んでも買いたいんじゃないですか?

T:そうでしょうね、しかも価格もちょうど良い。コレは普通に欲しくなっちゃう。

W:争奪戦必死ですね。

メンズの展開が極めて少ないHYKEの人気モデルを、メンズサイズと仕様にアレンジしたUnited Arrowsによる別注。ミリタリーらしいベーシックさがありながら、しっかりとデザイン性が感じられる一着。

HYKE for UNITED ARROWS
M-51 JK ¥57,200(UNITED ARROWS HARAJUKU)Tel: 03-3479-8180


doublet × 洋服の青山

“資源を無駄なく使うっていうコンセプトのアプローチは今っぽい”(渡邊)

R:5着分のジャケットを解体して1着を作ってるという、doublet × 洋服の青山によるアップサイクルアイテムです。

W: コレいくら?

R:27万円ぐらいです。

T:アップサイクルしてその値段だったら高すぎる気が……。

W:確かにちょっと高いかな。その価格の負担を全部お客さんがしないといけないわけだし。「サステナブルな商品作りました、コスト高くなりました、でも我慢して買ってください」ってことでしょ。

T:「doubletなんでご了承ください」みたいな?

W:面白いけどね。

R:面白いし、やってることは正しいですけどね。

W:アップサイクルな考え方は大事で、資源を無駄なく使うっていうコンセプトのアプローチは今っぽいですよね。

T:もちろんその通りだし、服もよりカッコ良く仕上がってると思うから、あとは価格かな。

R:アイテムによりますけど、doubletの服の作り方って結構突出してるじゃないですか。

W:やっぱりレディメイドよりも、オートクチュールな雰囲気なのかも。一点物のコスチューム作る感覚。 

R:コレクション見てると、毎回内容が凄いですよね(笑)

W:だからハマったらハマる中毒性のあるブランドなんだろうね。その魅力にハマった人は、doubletじゃないと嫌だってなるのかも。それってブランドにとって大切なことだよね。

近年増えている、サステナビリティを重視したアップサイクルプロダクト。日本のビジネスマンを支え続けてきた「洋服の青山」と、世界から注目を集めるコレクションブランドであるdoubletという組み合わせの妙も。

doublet × 洋服の青山
アップサイクルジャケット 29万7000円 (エンケル)TEL : 03-6812-9897


sacai × Astier de Villatte

“買う買わないは別にして、こういうユニークなものを作るのがコラボの醍醐味”(渡邊)

R:前編最後のアイテムは少し変わり種で、sacaiのピクニックバスケットです。

T:sacaiはこういうコラボって今までやってたのかな?

R:sacaiっていうより、日本のブランドでこういうのあんまりないですよね。

T:sacaiぐらいだと主戦場が海外マーケットだったりするからかな。

W:イギリスとかで行われているガーデンパーティのイメージだね。これを使えるシチュエーションがあれば欲しいと思います。買う買わないは別にして、こういうユニークなものを作るのがコラボの醍醐味だから。sacaiを知ってる人がコレを通して、Astier de Villatteを初めて知るっていう。

R:sacaiがコラボしなかったら、ずっと知らないままですもんね。

T:しかも長年使えそうなプロダクトだし。持っていたら今後価値が上がる気もするね。

W:確かに今後は価値が上がるかもしれないから、コレクションピースとして所有するのもアリ。新しいブランドを知るってことは、単純に良いことだし。あとはシンプルにこのカトラリー類が欲しいと思ったな。

“意外性”ということもコラボレーションの醍醐味であり、双方のファンに知らなかったブランドの存在を教えてくれるのもコラボレーションならでは。Astier de Villatteは1996年創業のMADE IN PARISのセラミックブランド。

sacai × Astier de Villatte
アスティエ ピクニックバスケットセット ¥236,500(sacai)TEL : 03-6418-5977




(左から) 渡邊敦男(『PRODISM』編集長)、スタイリスト 来田拓也、武井幸久(HONEYEE.COM)



渡邊敦男(『PRODISM』編集長)

1973年生まれ。『Asayan』、『Huge』などの編集を経てフリーランスに転身。2013年にプロダクトにフォーカスした雑誌『PRODISM』を創刊し、現在も編集長として活動中。メンズファッション、スニーカー、ストリートウェアに通じており、独自の美学を持つ。

スタイリスト 来田拓也

1986年生まれ。甲斐弘之氏に師事し、2012年に独立。メンズファッション誌を中心に活躍。トレンドを敏感に取り入れたプロダクトスタイリングにも定評がある。現在アシスタント募集中。

武井幸久(HONEYEE.COM)

1972年生まれ。雑誌『EYESCREAM』の編集者を経てHONEYEE.COMの編集長に就任しつつ1年で退任。フリーの編集者、クリエイティブディレクターとしてブランドサイトやメディアの立ち上げに携わり、2021年秋にHONEYEE.COM編集長に出戻り就任。