「2022SS注目シューズ」 前編
ファッションプロダクトのストーリーやその裏側にあるあれやこれやを、少しだけ厳しい目線と深いプロダクト愛でお届けする好評連載企画。雑誌『PRODISM』編集長の渡邊敦男と『HONEYEE.COM』編集長の武井幸久、そしてスタイリストの来田拓也が毎回テーマを決めてピックアップしたモノについて縦横無尽に語ります。「2022SS注目シューズ」編では5つのブランドから厳選ピックアップ。
Edit&Text : Atsuo Watanabe(PRODISM)&Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Styling : Takuya Raita
Photo : Kengo Shimizu
visvim
FBT LHAMO-FOLK
“もうラグジュアリーシューズという位置付けですよね”(渡邊)

来田拓也(以下 R):visvimがブランド初期から出しているFBTの新作ですね。
武井幸久(以下 T):じゃあ15年くらい?
渡邊敦男(以下 W):いや、もっと前ですね。このFOLKモデルのソールは、いわゆる普通のスニーカーのEV仕様じゃなくて、薄めでアウトソールにオリジナルのビブラムソールを使用しているタイプ。僕は履きやすくて好き。
R: アッパーにはすごく良いドイツ製のディアレザーを使っています。
W: このレザー素材は履き込んだら本当にかっこいい味が出てくると思う。
T: FBTの中でも最上級ってことですか?
R: そうですね、しかも一枚革で作っています。
T: 色は経年変化の雰囲気とか考えると、白の方が良さそうだね。
W: 汚れを気にしないクラスの人が履くべき靴なのかもしれない。だからもうラグジュアリーシューズという位置付けですよね。他のハイブランドのシューズを買うのと同じテンションで、この極上のFBTを選ぶ。そのぐらい価値のある一足だと思います。
visvimのブランド創設時からアップデートし続けているモカシン“FBT”シリーズ。今季はアッパーに1枚革のベジタブルタンニングで鞣したドイツ製ディアスキンを使用。滑りにくく、疲れにくいVibramのアウトソール、EVAクッションを採用するなど、都市における履き心地も追求されている。
visvim
FBT LHAMO-FOLK ¥132,000
F.I.L. TOKYO
TEL : 03-5778-3259
C.E
CAV SHOES
“スケシンさん本人が履いたらめちゃくちゃカッコよさそう”(渡邊)

R: C.E初のオリジナルシューズで、eVentを使ったウォータープルーフになってます。インソールがC.Eっぽいですね。
W: スケシンさんだからド派手なシューズを作るのかと思ったら、意外に控えめなデザインなんですね。でもすごくハイテクな雰囲気は出ているから、その辺のバランスはさすがですね。
T: 最初このインソールとステッチがリフレクターかと思ったけど、違うんだね。見えないところだけどやりかねないと思って(笑)。
R: どこのブランドかパッと見は分からないですけど、ちょっとズボンの裾からカカトの刺繍が見えたら「C.Eなんだ?」みたいなのが良いです。
T: C.Eって知らないとゴルフシューズに見えなくもないけど、その辺が絶妙。
W: 原型となるモデルは何かあるのかな? どこかクラシックでスポーティーな感じはするけど。
R: 90年代のイタリア高級ブランドのスポーツラインが作っていたシューズから着想を得てるみたいです。
T: けど本当に意外だね。C.Eだからもっと派手なデザインを予想してた。
R: NIKEとのコラボはすごかったですよね。
W: スケシンさん本人が履いたらめちゃくちゃカッコよさそう。あと、ワイドなスラックスに合わせるような今のスタイリングにもハマるよね。
R: デニムとかでもいけそう。一見スニーカーに見えるけど、シューズですもんね。
W: こういうスニーカーなのかレザーシューズなのか、一見わからない感じの靴って面白いよね。ちなみにコレいくら?
R: 3万3千円です。
T: eVentでVibramのソールを使ってるハイテクシューズって考えたら、全然アリだよね。
R: 雨の日にコレ履けるのは良いなと。
C.E初となるオリジナルシューズ。アッパーはグレインレザーとコーデュラナイロンのコンビで、どこか既視感のあるようなフォルム。アウトソールにはVibram社のソールを採用し、シューズ内側には防水透湿素材のeVentを使うなど機能面も充実している。ブラックとベージュの2色展開。5月にはグレーとグリーンの2色が新たに発売予定。
C.E
CAV SHOES ¥33,000
https://www.cavempt.com
nonnative × ECCO
EXOHIKE WITH GORE-TEX®︎
“ECCOって実はすごい会社なんだよね”(武井)

W: 実物を見るのは初めてだな。
T: 持ってみると結構重いんだね。
R: ミシュランソールだから、滑らないやつですね。
T: ECCOって実はすごい会社なんだよね。コンフォートシューズの代表格みたいになってるけど、世界をリードする靴とか洋服の素材開発の会社でもあるって聞いたことがあって。だからデザイン力のあるファッションブランドとのコラボレーションをしてるんだろうなと。
W: じゃあnonnativeみたいなブランドとのコラボは正解かもしれないですね。お互いの良さが合致するというか。
T: 特に(nonnative)藤井(隆行)さんみたいなモノに対して愚直というか、こだわる人とやることによって、ECCOにとってもブランディング的に良さそう。
W: いやぁ、見るほどにコレはカッコイイな。
R: ほどよいブーツが欲しいときに、すごくちょうど良いですね。GORE-TEX®ですし。
W: 個人的にハイカットはあんまり履かないから、ローカットもあったら嬉しかった。
T: ヒール部分がゴツくて目を引くよね。スタビリティーみたいな機能もあるのかな。
R: 人間工学に基づいた設計なので、そうかもしれないですね。
W: ハイテクな感じのシューズに、あえてスエードを使ってくるのがnonnativeっぽい。
R: コレは売れそうですね。
デンマークのシューズメーカーECCOとnonativieによる初のコラボレーション。ECCOのトレッキングブーツ“EXOHIKE”をベースに、異なるレザーとナイロン素材を組み合わせてワントーンカラーのグラデーションを表現。防水透湿性に優れたGORE-TEX®だけでなく、ECCOの最新技術が搭載されたハイパフォーマンスな一足。
nonnative × ECCO
EXOHIKE WITH GORE-TEX®︎ ¥42,900/ノンネイティブ × エコー
ベンダー
TEL 03-6452-3072
UGG® x N.HOOLYWOOD COMPILE
UGG® x N.HOOLYWOOD CA805 Slide
“Nハリってやっぱり都会的ですよね”(来田)

R: N.HOOLYWOODとUGG®のコラボから第三弾です。
T: 最近さ、同じ会社(Deckers)だからなのか、UGG®のソールがHOKA ONE ONE化してるよね(笑)。
W: しかしすごい厚いソールだね。UGGの純正のソールなのかな?
R: 多分そうだと思います。けど完全にDeckersグループって感じですね(笑)。今年はヒールのないスリッパタイプの靴が多いですね。色々なブランドが出してます。特にコレは歩きやすいし、ドレスっぽいスタイルにも合いそうですし。
T: UGG®ってムートンブーツのイメージが強くて、春夏の商品展開に困ってたんじゃないかな? だからHOKAのソールを採用してリブランディングしてる気がするけど。
W: 今だとこういうハイテクのソールも使ってたりして、ここ数年でUGG®の世界観が変わってきましたね。
T: けどコレはどの部分がNハリなんだろう?
R: アッパーがNハリのデザインです。
W: これからの季節に良さそうだし、ドレッシーな格好にあえて合わせるスタイルは想像できるかも。
R: Nハリってやっぱり都会的ですよね。
N.HOOLYWOODとUGG®によるコラボレーション第3弾。セットアップのスタイルなど、ドレスライクなスタイルにも合うスリッポンとして開発された。クッション性に優れたUGG®のラバーソール、オリジナルのアッパーには、リサイクルポリエステル(約45%使用)のメッシュを内側に配した上質なスエードを使用している。
UGG® x N.HOOLYWOOD COMPILE
UGG® x N.HOOLYWOOD CA805 Slide ¥22,000
ミスターハリウッド
TEL : 03-5414-5071
ENGINEERED GARMENTS × SEBAGO
Boat Shoes - Combo
“コレを量産するって大変そうです”(来田)

R: 両者のコラボ第2弾の新作で、デッキシューズのタイプは今回が初ですけど、色んな素材をミックスしてるみたいです。左右がクレイジー柄になってるのが別注ポイントです。
T: 本当だ。左右で素材が微妙に違う。 最近は全然聞かなかったけど、SEBAGOっていうのがちょっと懐かしくて良いよね。
R: 物作りに関してはブレないブランドですしね。
W: SEBAGOっていうよりも、コレはENGINEERED GARMENTSだから買うシューズなんだろうね。ショーツで合わせるのが良さそう。
R:たしかにスタイリングするならショーツですね。
W: それこそ裾幅が広めのグルカショーツとか履いたりすると、ENGINEERED GARMENTSのシーズンテーマのアフリカっぽさが出そうだね。
R: 4種類ぐらいのレザーをミックスしてるんで、コレを量産するって大変そうですよね。
W: ディテールにハンパないほどこだわる姿勢がENGINEERED GARMENTSの魅力の1ピースでしょう。
デッキシューズで知られるアメリカの老舗SEBAGOとENGINEERED GARMENTSによる3度目のコラボレーション。SEBAGOでは特徴的な80年代の2穴ボートモカシンをベースに、同色で色味に濃淡のある表革とスウェードをパーツごとに張り替えるという細かいプロダクションが効いている。カラーはシーズンテーマである“アフリカ”に合わせている。
ENGINEERED GARMENTS × SEBAGO
Boat Shoes - Combo ¥42,900
エンジニアド ガーメンツ
TEL 03-6419-1798

(左から) 渡邊敦男(『PRODISM』編集長)、スタイリスト 来田拓也、武井幸久(HONEYEE.COM)
渡邊敦男(『PRODISM』編集長)
1973年生まれ。『Asayan』、『Huge』などの編集を経てフリーランスに転身。2013年にプロダクトにフォーカスした雑誌『PRODISM』を創刊し、現在も編集長として活動中。メンズファッション、スニーカー、ストリートウェアに通じており、独自の美学を持つ。
スタイリスト 来田拓也
1986年生まれ。甲斐弘之氏に師事し、2012年に独立。メンズファッション誌を中心に活躍。トレンドを敏感に取り入れたプロダクトスタイリングにも定評がある。現在アシスタント募集中。
武井幸久(HONEYEE.COM)
1972年生まれ。雑誌『EYESCREAM』の編集者を経てHONEYEE.COMの編集長に就任しつつ1年で退任。フリーの編集者、クリエイティブディレクターとしてブランドサイトやメディアの立ち上げに携わり、2021年秋にHONEYEE.COM編集長に出戻り就任。