BEHIND THE PRODUCT #19
2022.09.30

ファッションプロダクトのストーリーやその裏側にあるあれやこれやを、少しだけ厳しい目線と深いプロダクト愛でお届けする好評連載企画。雑誌『PRODISM』編集長の渡邊敦男と『HONEYEE.COM』編集長の武井幸久、そしてスタイリストの来田拓也が毎回テーマを決めてピックアップしたモノについて縦横無尽に語ります。今回も5つのブランドから気になる最旬アイテムをピックアップ!





Edit&Text : Atsuo Watanabe(PRODISM)&Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Styling : Takuya Raita
Photo : Kengo Shimizu


Tapwater

トラックスーツ

“シルエットは南さん、元ネタは西野さんが手がけた感じがします”(来田)

来田拓也(以下 R):昨シーズンにデビューしたalpha.co.ltd.の南(貴之)さんと、「にしのや」の西野(大士)さんが手がけるブランドです。“クローゼットの中に持っておきたい洋服”がコンセプトになっています。

渡邊敦男(以下 W):部屋着みたいな感覚で作ったのかな?

R:こういった定番的なアイテムをよく出しているみたいです。

武井幸久(以下 T):最初はパンツから始まったブランドで、何かしらルーツのあるアイテムを今っぽくアップデートして毎シーズン、リリースしていますよね。

W:元ネタのアイテムとシルエットとか素材が違って、今っぽさを楽しめるってことなんだろうね。

R:シルエットは南さん、元ネタは西野さんが手がけた感じがします。

W:着心地が良さそうだから上下で持っていれば、ちょっと出かけるのにも便利そう。

T:実はこのブランドそんなに二人のテンションが続かないかなと思ってたけど(笑)、こうやって継続してアップデートしているのが良いですね。

GraphpaperやFreshServiceも手がけるalpha.co.ltd.の南貴之と、パンツ専業ブランドのNEATを手がける「にしのや」の西野大士によるブランドTapWater。当初はパンツのみの展開だったが、徐々にアイテムの幅を広げている。今回の体育着に使われるようなジャージ素材を使ったイージーなセットアップは、それぞれ古着アーカイブから着想を得ているユルさのあるプロダクト。

Tapwater
ポーラテックフリースジャケット ¥30,800、パンツ¥26,400
アルファ PR 
TEL:03-5413-3546



O-

デニムジャケット

“Gジャンを一枚生地で作ってる。その発想がすごい”(武井)

R:オーっていうマニアックなブランドです。

W:しかしアームの部分がめちゃくちゃ太いね。

T:しかもコレ、Gジャンを一枚生地で作ってる。その発想がすごいなと。

R:ストレッチがかなり効いたパンツも出していて、素材と作り方にすごくこだわってるのが分かります。

W:新しいブランドなの?

R:11年ぐらいやっているそうで、ずっと気になっていて。サイズ感がゆったりしてるので、下にパーカーとかを合わせても良さそうですよね。

T:変わったアイテムではあるけど、奇抜なわけではないからカジュアルに着れそう。

W:根強いファンがいそうなブランドだね。今後の動向をチェックしないと。

名前のインパクトが強いO-によるデニムジャケットは、一見するとオーバーサイズのGジャンにも見えるが、あえて一枚生地で仕立てるという大胆な技法を取り入れた。定番的なデザインを活かしながら、高度な遊びを取り入れた一着。

O-
XXLSS - Light Fade Bio - ¥52,800
オーバーリバー
info@overriver.com



A BATHING APE®︎

カモシャツ

“人気再燃には注目だね”(渡邊)

R:このファーストカモは20年ぐらい前に復刻して以来、毎シーズン色々なアイテムでリリースされています。

W:お、昔のタグじゃん!いまA BATHING APE®︎の人気ってすごいですからね。この前お店を通りかかったら行列でしたよ。 BAPE STA™なんかは高校生にも人気らしいよ。

R:YouTuberが着ているのも若い子に人気な理由の一つかもしれませんね。

T:パッと見て、どこのブランドのアイテムなのか分かる強さがありますよね。

W:A BATHING APE®︎ってベースが古着とがアウトドアだから、それが今の時代のトレンドと相まってるのかも。

T:30年近く経った今でもブランドが支持されているのは、見ていて痛快だな。

W:A BATHING APE®︎の人気再燃には注目だね。

R:昔のアイテムが他にも今後復刻されるかもですね。

ミリタリーな印象の強かったカモフラージュ柄をポップにファッションに取り入れた第一人者とも言えるA BATHING APE®︎。その初期のカモ柄を復刻したシャツは、時代を超えてもキャッチーな輝きを失っていない。

A BATHING APE®︎
1ST CAMO OUTDOOR DETAIL POCKET RELAXED FIT SHIRT ¥27,500
ベイプ ストア 原宿
TEL:03-5474-0204



N.HOOLYWOOD × G-SHOCK

DW-5600

“G-SHOCKのレアモデルってこの黄色ですよね” (渡邊)

R:今回で9回目のN.HOOLYWOOD × G-SHOCKのコラボレーションです。

W:この黄色のカラーリングは懐かしいね。

T:ベースのモデルはDW-5600で、黒い留金の部分がN.HOOLYWOODとのコラボデザインということなのかな。

R:おそらく、そうですね。G-SHOCKって元々はアメリカで人気が出て、逆輸入的に日本でも知名度を上げたのを今回で初めて知りました。

T:G-SHOCKって普遍的で良いんだよね、オレも時計は今持ってるDW-5600で大満足。この色って、あえてオモチャ感を出してるんですか?

W:僕ら世代からするとG-SHOCKのレアモデルってこの黄色ですよね。90年代は黄色いモデルがすごい高値で売買されてたもん。イルカクジラとか懐かしいなぁ。

R:中古屋で昔のG-SHOCKとか見てると色々あって面白いんですよね。

T:この袋が付いてくるのもN.HOOLYWOODらしくて良いな。

N.HOOLYWOODとG-SHOCKによる9度目のコラボレーション。今回は定番モデルのDW-5600をベースに、ビビッドなイエローカラーで登場。ナイロンリップストップを使ったスタッフサックも、イエローで統一されている。

N.HOOLYWOOD × G-SHOCK
DW-5600NH22-9JR ¥24,200
ミスターハリウッド
TEL:03-5414-5071



HUBERSTORE

スウェットシャツ

“一見普通に見えて手がこんでいる”(武井)

R:BEAMS TのバイヤーとDiaspora Skateboardsのブランドをやっている方が、最近二人で始めたレーベルです。毎シーズン、アーティストを迎えて展示をやっていきながら、こういったファッションアイテムをリリースしていくと聞いています。

T:この胸のロゴはアイロンプリントみたいにも見えるけど、実は刺繍なんですね。一見普通に見えて手がこんでいる。

W:ボディーは普通のGOATで、そういうこだわりがコントラストになってて面白い。こういうブランドって長続きしてほしいな。

R:やり続けてもらって、ブランドとしてどうなるか見ていきたいですね。

T:この抜け感が魅力なんでしょうね。

W:大手のアパレル社員が会社の外でも、自分のプロジェクトをやり始めるのは良いことかもね。実力勝負ってのが健全。

ボディにはスタンダードなアメリカのGOATのスウェットを使い、カレッジものやカンパニーもののような刺繍を載せることで、抜け感のある一着が完成。何でもないようでいて、気になるアイテムに仕上げているところに培ったセンスが感じられる。今後も注目のレーベルになりそう。

HUBERSTORE
Original Emblem Crewneck Sweatshirt ¥15,400
フーバーストア
https://huberstore.stores.jp/



(左から) 渡邊敦男(『PRODISM』編集長)、スタイリスト 来田拓也、武井幸久(HONEYEE.COM)



渡邊敦男(『PRODISM』編集長)

1973年生まれ。『Asayan』、『Huge』などの編集を経てフリーランスに転身。2013年にプロダクトにフォーカスした雑誌『PRODISM』を創刊し、現在も編集長として活動中。メンズファッション、スニーカー、ストリートウェアに通じており、独自の美学を持つ。

スタイリスト 来田拓也

1986年生まれ。甲斐弘之氏に師事し、2012年に独立。メンズファッション誌を中心に活躍。トレンドを敏感に取り入れたプロダクトスタイリングにも定評がある。現在アシスタント募集中。

武井幸久(HONEYEE.COM)

1972年生まれ。雑誌『EYESCREAM』の編集者を経てHONEYEE.COMの編集長に就任しつつ1年で退任。フリーの編集者、クリエイティブディレクターとしてブランドサイトやメディアの立ち上げに携わり、2021年秋にHONEYEE.COM編集長に出戻り就任。