デスティネーション・ストア | File 026
2023.10.13

デスティネーション・ストア | HONEYEE.COM的個性派シティガイド 
File 026 : HERENESS STORE(東京都・元浅草)

スマートフォンでどこにでも行った気になれる時代。むしろスマートフォン片手に「ここにしかない」を体感しに行ってみてはどうだろう。HONEYEE.COMが選んだ“目的地になる店”を紹介する連載「デスティネーション・ストア」。File 026はあまり聞き馴染みがないかもしれない、元浅草の路地裏で見つけた「HERENESS STORE」をご紹介。

Text Takaaki Miyake

着心地を追求したスポーツウェア

HERENESS

機能素材やパフォーマンス向上など、テック先行のブランドがマジョリティを占めるスポーツウェア業界において、まずはやはり着心地からという、運動の資本である身体が感じる快適さ、つまり着心地にフォーカスしたブランド HERENESS が、2023年4月に東東京の一角である元浅草へ旗艦店「HERENESS STORE」を開いた。

店舗は蔵前駅から徒歩10分ほどの場所だが、いわゆる近年ホットと言われるエリアからは少し離れた、町工場なども点在する路地裏にある。D2Cブランドとして2020年12月にECから誕生した HERENESS だが、きっかけは非常にシンプルな想いからだったとマーケティングディレクターの神谷さんは語る。

「コアな部分でスポーツを楽しめたり、生活が豊かになったりするスポーツウェア作りが HERENESS の出発点でした。なので積極的にレンジを増やすことや、生地のアップデートも頻繁には行っていません。その中でもシルエットを変えたり、カラーを増やしたりなどのマイナーチェンジを重ね、全アイテムが定番商品として継続するかどうかで開発をしています」

店内のラックに並ぶのはスポーツウェアにはあまり縁のない色味、そもそも豊富なそのカラーバリエーションに目を見張る一方で、ロゴが主張しないデザインが目立つ。そんな美学が HERENESS らしさを生み出しているのかもしれない。

快適さでスポーツライフをサポート

HERENESS

HERENESS のウェアに触れると化繊の生地感とは明らかに異なる、着用時の快適さが容易に想像できるのも特徴的だ。

「ブランドとして着心地はローンチ時から大切にしている点です。ショーツやタイツなど、どうしても必要な部分には化繊も使用していますが、なるべく天然素材を採用しており、特にこだわっているのがウールです。同時に運動をすることも想定しているため、コットン100%のTシャツの開発や、天然素材でスポーツウェアになりうるモノを選んでいます」

スポーツウェアでありながら、着心地や肌触りにフォーカスをする。それを実現するためにウールの欠点を補う際にポリエステルを混合する場合も、再生ポリのみを使用するなど素材や生地には特に強いこだわりを見せる。

HERENESS が行う啓蒙活動

HERENESS

そして HERENESS が徹底するもう一つがサステナビリティだ。商品ページの各アイテムを見ると素材選びの理由や制限、環境との関係性などが詳細に表示される。

「サステナビリティなブランドとして打ち出しているわけではなく、現代のブランドである以上は当たり前の取り組みを行っている感覚です。例えば自然なままに飼育された羊から刈り取ったウール、サトウキビ由来のポリエステル、フェアトレードなコットンの選択です。またサンプルが到着してからエンドユーザーに配送されるまで、ビニールの個包装をしないことで二酸化炭素の排出量の削減をしています。

取り組みに共感してご購入いただく場合もありますが、現状では HERENESS のブランド活動を通じた啓蒙的な意味合いの方が大きいかもしれません。最初の入口としては、やはりアイテムの魅力である着心地を求めて足を運ばれる方が多いです。今後はよりブランドの思想が、手にとっていただく理由になっていくと嬉しいですね」

ECから実店舗、そしてコミュニティ作りへ

HERENESS

「HERENESS STORE」オープンの背景には、素材や着心地を重視しているからこそ、実物を見て購入したいという声が多かったからだという。ポップアップを各地で開催した際にも、やはりフィジカルの場での反応は上々だった。

皮小物屋の跡地だった店舗とオフィスを兼ねるこの場所は、隅田川や皇居からのランニングコースになり、トレイルランストアが軒を連ねる馬喰町からも近く、ランナーとの親和性も高い。そして以前まではアポイント制だったこのお店も、2023年10月4日(水)からは常設店としてオープンした。

「これまではアポイント制にしていたのは、試着をゆっくりしてもらえるようにという理由でした。ですが社内でオペレーションの経験も蓄積でき、人員的に体制が整ってきたタイミングで常設店に移行を決めたんです。オンラインでは完結しないコミュニケーションもありますし、予約制だと来店のハードルも実は高くなっていたのかなと。

せっかくこういった立地にオープンしたので、今後は地域とのコミュニティ作りに注力していきたいです。ほぼ同時期にオープンしたすぐ近くの『NOMURA SHOTEN』さんとも、ランニングとお酒、そして銭湯を盛り込んだイベントを定期的に開催していて、いつかはヨガなど朝にもできるイベントも考えています。まずはこの地域にしっかりと根付く店舗になりたいですね」

スポーツライフをサポートする HERENESS の常設店に足を運んで、まずは一度そのウェアに袖を通してみては?

DESTINATION STORES | File 26
ヒアネスストア| HERENESS STORE
東京都台東区元浅草3丁目20-12
営業時間 : 11:00-17:00(日・月・火・祝日定休)
https://hereness.jp/