デスティネーション・ストア | HONEYEE.COM的個性派シティガイド
File 029 : THREE(東京都・三茶)
スマートフォンでどこにでも行った気になれる時代。むしろスマートフォン片手に「ここにしかない」を体感しに行ってみてはどうだろう。HONEYEE.COMが選んだ“目的地になる店”を紹介する連載「デスティネーション・ストア」。File 029はコーヒーやシーシャが楽しめる看板のないお店「THREE」をご紹介。
Text Takaaki Miyake
人の手が作る店
程よい雑多感が漂う街の中にハイセンスな飲食店などが立ち並ぶ三茶へ、また一つ訪れるべきお店が2023年10月に新たにオープンした。場所は三茶の中でも昔ながらの焼き鳥店などが軒を連ねる路地裏、しかもお店はビルの2階という立地ながら立て看板も出さず、唯一店外からも見えるロゴも普通なら素通りしてしまうサイズ。
今回フィーチャーする「THREE」はそんな外観からは想像もつかない、コーヒーやお茶、カクテルに加えてシーシャも同じ空間で愉しめるだけでなく、店内インテリアには随所にこだわりが散りばめられている。優雅な曲線美が目を引くカウンターやコーヒーテーブル、チェアなどの家具類は、「本質を大切に」という想いから職人の手によって全てナチュラルウッドから作られ、一部には樹齢300年を超える最高級の素材を惜しみなく使い、インテリアとしての枠を超えたクオリティを誇るものまである。
コミュニケーションや化学反応が生まれる場所
しかし「THREE」は単に内装にこだわっただけのシーシャバーでも珈琲店でもお茶屋でもない。オープンの原点は「自身の大切にする価値観を持った人たちが集まる場所を作りたかった」とディレクターの二瓶槙二郎は話す。
「そういった方達がここに来ることでインスピレーションを受け、新しい発想や行動やに繋がるきっかけを与える場所にしたかったんです。だけど人が集まるにはハコがあるだけでは機能しないので、カルチャーや嗜好品を楽しめる空間にしました」
さらには店内で偶然会った人同士によるコミュニケーションが生まれ、次の来店時には一緒に足を運ぶことも珍しくないという。
何屋でもないからこそ
では「THREE」とはあえてカテゴリーを分けるならば、一体何屋なのか?その質問をぶつけると予想外の答えが返ってきた。
「ここは強いて言うならば、『何屋でもない』という表現が一番しっくりくるように思います。面白い人たちが集まる、面白い場所をとにかく作りたかった。それを実現する入口としてコーヒーやお茶、シーシャをメニューに取り入れたんです。
一方で”何屋でもない”からこそ、コーヒーやお茶など店内で提供する全てのものに一級品を揃えています。例えばコーヒーは経堂にロースタリーを構える Raw Sugar Roast の豆を使用していますし、お茶は全国から60種類を集めて実際に試飲した中から選んだ福岡の八女の茶葉に決め、実際に現地でどのように栽培されているかなども見学に行きました」
何屋でもないからこそ追求する、専門店顔負けのクオリティもまた「THREE」の魅力の一つなのかもしれない。
地域との結びつきを手繰り寄せる
そもそも三軒茶屋の地名は寺社仏閣巡りが盛んだった江戸時代に、三軒の茶屋が並んでいたことに由来するすると言われている。その歴史を紐解いて誕生したお茶や抹茶を用いたドリンクも数多くメニューに並び、ここからも三茶という地に根ざしたお店作りをする姿勢が伺える。
「この三茶にオープンしてからまだ間もないですが、今後別のロケーションでの展開の可能性も考えています。ですがチェーン店のようなシステム化されたことは全く考えていません。
今はまだ次の店舗がどこになるかは分かりませんが、新たな地でもその場所が持つ地域性を活かしたコミュニティハブになるお店作りをしていく予定です」
令和の時代に誕生した現代の茶屋「THREE」を、三茶の散策マップリストに加えてみては?
DESTINATION STORES | File 29
スリー | THREE
東京都世田谷区三軒茶屋2-10-14 GREST三軒茶屋2F
営業時間 : 11:00〜29:00
https://www.instagram.com/three_sancha/