デスティネーション・ストア | File 035
2024.02.16

デスティネーション・ストア | HONEYEE.COM的個性派シティガイド 
File 035:BridgeHouse(東京都・上目黒)

スマートフォンでどこにでも行った気になれる時代。むしろスマートフォン片手に「ここにしかない」を体感しに行ってみてはどうだろう。HONEYEE.COMが選んだ“目的地になる店”を紹介する連載「デスティネーション・ストア」。File 035は目黒川沿いからさらに一本裏へ入った路地裏にお店を構える新しいショップ、ブリティッシュヴィンテージ&カフェ「BridgeHouse」を紹介する。

Text Takaaki Miyake

正統派のブリティッシュスタイル

BridgeHouse

ロック、パンクやモッズといったスタイルでも世界的に影響を与え、男性ファッション文化も豊かな歴史を誇るイギリス。中でもサヴィルロウに代表されるテーラードやスーツスタイルは英国紳士には欠かせないものだが、日本においてはなかなかそれをリアルに体感できる場所は少ない。そんなオーセンティックなヴィンテージアイテムを心ゆくまで楽しめるお店「BridgeHouse」が2024年1月、中目黒にオープンした。

代表を務める木内洋一さんは意外にもアルコールの製造・販売会社を45年以上も経営した経歴を持ち、輸出も行っていたことから海外へ赴く機会も多かったという。20代の頃からトラディショナルなブリティッシュスタイルに惚れ込み、海外出張の際には仕事の合間を縫って、現地のヴィンテージストアを自身の足で渡り歩いた。

「ロンドンへ行くと決まって昼は古着屋を巡り、夜は大好きなリアルエールを飲むのが楽しみでした。ビスポークのカルチャーに魅了され、好きなデザインのビスポークスーツなんかは買ったサイズに合わせて自身の体型を“ビスポーク”して着ていました(笑)」

イギリス郊外の屋敷に見られるブーツルームを模した店内の2階には、木内さん自身がオープン前に時間をかけて現地で買い付けたツイードジャケットやチェスターコートに加え、セーターやレザーのシューズなど、イギリス人のワードローブには必須の正統派アイテムが並ぶ。

着飾る愉しみを伝える

BridgeHouse

多様なライフスタイルから職場でもスーツの着用が少なくなった現代では、カジュアルな服装の方がスタンダードになりつつある。そんな中であえてこのオーセンティックな「BridgeHouse」をオープンを決めたきっかけは何だったのだろうか。

「僕が20代の頃は出張のときに親からも『ちゃんとジャケットを着て行きなさい』と言われていました。そうするとホテルでのチェックイン時に案内される部屋が違うということが本当にあったんです。なので人は見た目によって決まるという考えを今も信じています。

これは容姿の話ではなく、良いものをちゃんと着こなすということです。普段カジュアルな格好が多い人にもたまにはきちんとした装いをする楽しさを伝えていくのが、この店の役目だと思っています」

BridgeHouse

装いの哲学が今でも広く受け継がれているのも、イギリスファッションの魅力だと木内さんは教えてくれた。たしかに冠婚葬祭以外のシーンでもスーツ​​を着て、とびきりのお洒落を楽しむ心を持つのは新鮮かもしれない。

本格派のおもてなし

BridgeHouse

実は「BridgeHouse」の1階にはカフェが併設されており、ここでは英国らしい紅茶はもちろんのこと、コーヒーや世界中でビールの審査員まで務めた木内さんが太鼓判を押すビールも提供されるが、ヴィンテージウェアとカフェという、あまり結びつきが見えにくい組み合わせだがこれには理由があった。

「以前クラフトビールを取り扱っていたいたとき、日本全国でものすごく拡がっていったのを憶えています。ただしそれは単純にトレンド化したわけではなく、コミュニティが生まれていたのを感じました。それと同じでこのカフェで紅茶やコーヒーを飲みながら、伝統的なイギリスのファッションやヴィンテージ好きの人たちが集まる場所を作りたかったんです」

まだオープンから間もないが実際に紅茶を飲みながら、数時間滞在をしてゆっくり買い物を楽しむ人もいたという。

BridgeHouse

さらにこのカフェスペースでは、紅茶とスコーンをセットにしたイギリス国民から広く愛されるクリームティーも用意。日本ではアフタヌーンティーの方が聞き慣れた存在だが、より気軽に英国の味を楽しめるのも魅力だ。

ヴィンテージの枠を超えて

BridgeHouse

十分と思っていたストックも予想以上の反響があり、早くも追加の買い付けが必要らしいが、「BridgeHouse」では今後ヴィンテージ以外のアイテムも取り扱う計画をしている。

「現在英国から仕入れているヴィンテージの洋服だけでなく、オリジナルアイテムの製造も予定しています。お店のコンセプトであるクラシックなブリティッシュスタイルをレファレンスにした、スーツやシャツなどを考えています。

さらに将来的にはウイスキーやビールなどのイベント、ヴィンテージウェアやツイードのワークショップなども開催できたら良いなと思っています。限られたスペースなので少しずつですが、こういったカルチャーが好きな人が自然と集まる場所にしていきたいですね」

東京にいながら英国の風を感じられる、イギリスファンにはたまらないニュースポットがここに誕生した。

DESTINATION STORES | File 35
ブリッジハウス | BridgeHouse
東京都目黒区上目黒1丁目13-5
営業時間:10:00〜18:00(カフェ)、13:00〜20:00(ショップ)
https://www.instagram.com/bridgehousetokyo/