BUYERS' RECOMMEND | あのバイヤーが推す最旬アイテム
Vol.37:GEA
ファッション業界の最前線で活躍するバイヤーの目利きに頼って選び抜かれたアイテムを、リアルなコメントと共にHONEYEE.COMが連載形式で紹介しようというこの企画。第37回目は 山形県のセレクトショップ GEA から名物バイヤーが登場。
Text Takaaki Miyake
GEA
GEA は、山形県・寒河江市を拠点にする紡績・ニットメーカーの 佐藤繊維が2015年にオープンしたセレクトショップ。1932年に創業した佐藤繊維は、自社で開発する独創的な糸が世界のトップメゾンからも愛用されるほどの実績を持ち、長年作り手として培った審美眼を活かしてついにセレクトショップを立ち上げた。
酒蔵を移築して工場として使用していた、築100年以上の元工場2棟分の石蔵をリノベーションした同店では、数々のブランドを支えてきた 佐藤繊維 だからこその目利きでセレクトされた国内外のブランドが揃う。今回はショップの立ち上げからバイヤーとして携わる Naoko Sugihara さんが展示会で魅了されたというニットアイテムをレコメンド。
「GEA の母体でもある 佐藤繊維 は世界の名だたるメゾンに糸を卸す紡績メーカーでもあります。数年前にベテラン社員さんから『うちの糸を使って面白いニットを作ってる子がいて、久しぶりにモノづくりが楽しくなるデザイナーさんだよ』と紹介されたのが Kota Gushiken のデザイナー 具志堅幸太 でした。
ブランドとして商品数は少ないけれど彼がなぜこのニットを作ったか、一点一点の話を聞くのが毎回楽しみなコレクションです。また Central Saint Martins のニット科を卒業したと聞いていたので、エリート風なデザイナーを想像していましたが、とても謙虚で丁寧な対応をしてくれる人柄も魅力的です。
今シーズンのおススメは彼が愛用している花柄の灰皿からインスピレーションを受けた“Floating Flower Washi Cardigan”。春風が運んできたような花のカーディガンが展示会でもすぐに目を惹きつけられました。身頃の編み地に花が浮いているような繊細な編み組織のカーディガンは、彼らしい発想とクリエイティブです」
先日の Rakuten Fashion Week TOKYO 2024AW では、芸人の 又吉直樹 や 好井まさお を起用したコント仕立てのプレゼンテーションが話題を呼んだニットウェアブランドの Kota Gushiken。本アイテムには自身が普段から使っている灰皿のモチーフを、和紙の糸で表現したデザイナーのパーソナルな部分がインスピレーション源に。
印象的な花柄は単に編み込んだのではなく立体的に見えるように工夫がされ、デザイナーが持つクリエイティビティと生産背景の高い技術力があってこそ誕生した一着。ニットウェアながらも組下のショーツもあるので、やはりセットアップで着用したいという人も多いのでは?
ちなみに GEA 敷地内にはセレクトショップの他、山形の食材をふんだんに使用したイタリアンを提供するレストラン「GEA0053」や、オリジナルの食品アイテムなどが並ぶグローサリー、地酒と肴が楽しめる和食屋「弦円庵」も同居する。洋服からライフスタイルアイテムまでが揃う買い物だけでなく、地元の食文化を堪能できる充実ぶりとなれば、次回山形へ足を運んだ際は訪ねるしかないだろう。
Kota Gushiken
Floating Flower Washi Cardigan ¥68,200
GEA
https://www.gea.yamagata.jp/
https://www.instagram.com/___GEA___/
Naoko Sugihara
GEA バイヤー
伊勢丹勤務後に独立。 2013年よりフリーランスのファッションバイヤーとして、GEA立ち上げから携わる。山形県寒河江市から世界とビジネスする佐藤繊維の強みを活かした地域性に囚われないバイイングを目指す。