MUST-SEE NOW | 福井和来『目を澄ます』@隙間
2025.12.12

ネオンがつくる“あわい”を捉える

HONEYEE.COMが、今見ておきたいアート・デザイン展を毎週金曜日に紹介。この「MUST-SEE NOW」を参考に、今週末の“To Doリスト”に加えてみては?

Hender Scheme(エンダースキーマ)による"物々交換"をコンセプトとしたギャラリー「隙間」で、アーティスト・福井和来による個展『目を澄ます』が、2025年12月13日(土)~ 21日(日)に開催される。

福井は国内有数のネオンサインメーカー・シマダネオンで修行を積んだ後にニューヨークへ渡り、ナム・ジュン・パイク作品にも携わったネオン職人・デイビッド・アブロンに師事。帰国後は「後光ネオンスタジオ」とアーティストランスペース「後光」を立ち上げ、ネオンライトを軸に多彩なアプローチで表現を広げてきた。

作品はネオンの光を中心に、金属、布、反射素材などのファウンドオブジェクトを組み合わせ、看板制作の技法に根ざしながらも、無機と有機、非日常と日常のあわいを物質化するように、光が触れた瞬間の揺らぎや温度を、彫刻的な試みとして提示している。

本展『目を澄ます』では、ネオン管と異素材を組み合わせた新作群が披露され、光と物質が交差する瞬間を捉えたインスタレーションが並ぶ。会場には暗闇の中でかすかに明滅する光と素材の微細な動きが、鑑賞者の知覚のなかで形象として立ち上がる。ネオン管の熱と放電、粒子の揺れ、金属の振動──作品に内包されたごく小さな変化が、時間とともに異なる表情を見せ、ひとつとして同じ瞬間がない体験へと導く。

光が気配として立ち上がるその瞬間を、ぜひ会場で確かめてほしい。

<Information>
福井和来『目を澄ます』
会期:2025年12月13日(土)~ 12月21日(日)
会場:隙間 東京都台東区蔵前3-11-2 1F
会館時間:12:00〜19:00