A BETTER STAY─Soil Nishonbashi 編
2026.04.17

下町の歴史と心地良い空間と、サワードウと

仕事の出張でも、プライベートの旅行でも、ワーケーションでも。「どうせ寝るだけ」なんて言わずに、せっかく泊まるならやっぱり気分が上がる方がいい。デザインが良かったり、ご飯が美味しかったり、気の利いたアメニティがあったり。理由はどうあれ、少しでも“より良く”過ごせる場所を自分のために選びたい。そんな“より良い滞在”をテーマにした本企画「BETTER STAY」では、ずっと泊まりたかったあの場所や、今こそ泊まりたいホテルを訪ねていく。

今回は東京に住んでいても、自宅を飛び出し、わざわざでも泊まりに行きたくなる、日本橋人形町の「SOIL Nihonbashi Hotel」に週末ステイをした。

Text Takaaki Miayke

老舗の暖簾が残る街並みと、どこか新しい空気が混ざり合う東京・中央区日本橋人形町。連載企画「デスティネーション・ストア」で紹介した、「HERENESS STORE」や「EGO STORE」など、際立つ存在感を放つ店が並ぶこのエリアに、2025年9月にオープンしたのが、「SOIL Nihonbashi Hotel」だ。

自然とこの街に溶け込むように佇む、全14室のホテルには「Studio Double」と「Studio Queen」、そして「Park View Loft」の3タイプが用意され、こだわりのインテリアやデザインを散りばめた空間は、見ているだけでも滞在が楽しくなる。

そんな空間デザインを手がけたのは、自然と建築の関係性を探求する武田清明建築設計事務所。さらに室内にはこのホテルを手がけるStapleによる、オリジナルプロダクトの姿も。近隣から譲り受けた植木鉢を再生したプランターや、“自然に揺らぐ音”をテーマに作られた石のスピーカー。この土地との関係性ごと内包したプロダクトからも、“らしさ”が存分に感じられる。

個人的に目を引いたのが、ヴィンテージのカセットプレーヤー。カセットは1階でレンタルができるので、その日の気分に合わせて好きな音楽を部屋に“持ち帰る”、少しの非日常も味わえる。この日はちょうど前日に買ったカセットを持ち込んで夜を過ごした。

また、ホテルのコンセプトである“路地裏園芸”を体現する、屋上のファームガーデンも見逃せない。都市に滞在しているのをすっかり忘れさせる、時間帯によって表情を変える緑を感じるひとときも印象的。

そして1階に併設されたピッツェリア「Pizza Tane」も、このホテルを語るうえで欠かせない存在。同じくStapleが手がける近隣のカフェベーカリー「Parklet」から受け継いだ、酵母を使ったサワードウピザは、香ばしさと軽やかさが同居する一枚。

心地よい空間で目覚めた後は、このサワードウを使った朝食で一日を始める。そんな食事の時間まで、滞在の満足度を引き上げてくれる「SOIL Nihonbashi Hotel」。

さらに特徴的なのが、このホテルが単体で完結しないこと。ワインショップ「timsum」、コワーキングスペース「Soil work Nihonbashi」といった周辺の拠点とゆるやかにつながりながら、“分散型”の滞在体験も提案している。

チェックアウトをする頃には、ただの宿泊客ではなく、“この街の一部”になったような余韻も不思議と残る。チェックアウト後は、まっすぐ自宅に帰るのではなく、その余韻と一緒に、付近を散策して楽しむ。そしていつかまた“戻ってきたい”、そう感じさせてくれる滞在だった。

[INFORMATION]
SOIL Nihonbashi Hotel
住所:東京都中央区日本橋人形町3-2-4
https://soilis.co/nihonbashi/