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HONEYEE.COMが気になる人物にインタビューする動画企画「PROFILES.」。04では NANZUKA UNDERGROUNDのギャラリスト 南塚真史の横顔に迫る。
HONEYEE.COMが気になる人物に10のランダムな質問とともにインタビューする動画企画「PROFILES.」。
先日先日上海にもNANZUKA ART INSTITUTE をオープンするなど、ますます活動の領域を広げている NANZUKA UNDERGROUNDのギャラリスト 南塚真史に10の質問をぶつけた。
Interview & Text Yukihisa Takei(HONEYEE.COM)
Movie DOP & Editor Koji Ueda
Movie Producer Toshiyuki Takei(NION)
1.今日は何を着てきましたか?
今日はY-3のパンツに、上はPRADAのパーカー、足元は今回展覧会をやっているMSCHFのSUPER NORMALというスニーカーのシリーズなんですけど、これがNANZUKAのコラボのスニーカーになっていて、(シュータンに)NANZUKA UNDERGROUNDっていう刺繍があります。そうですね、黒ばっかりですね。(黒が多いのは)色物を着ると作品を邪魔するっていうのが。いつもずっと作品の前にいるわけじゃないんですけど、基本的にあまり作品を邪魔しないので。
2. 常に持ち歩いているものは?
(PRADAの)ショルダーバッグみたいなのをいつも持っているんですけど、その中に普通ですけど、財布と鍵とケータイと。全然面白い話でもなんでもないですけど、薬をいつも入れていて。すぐ風邪引くんで(笑)。喉の抗生物質、あと目薬ですね。
3. 普段はどんなルーティンで日常を過ごしていますか?
基本的に朝起きて、身支度して。だいたいSNSを全部チェックして、次にメールをチェックして。だいたいそれで午前中が終わるんですよね。で、午後にミーティングを入れてっていう感じが多いですかね。SNSは社内の業務連絡で、LINEとWhatsappとWeChat、その3つを処理するだけで何百件ってなっているんで(笑)。
4. アートギャラリーをやろうと思ったきっかけは?
他に選択肢がなかったっていうのが結論なんですけど(笑)。大学で美術史というかアカデミックなアートの歴史を勉強するコースにいたんですけど、そのコースは基本的に歴史上重要なアーティスト。結果的にみんな亡くなっているんで。僕は生きているアーティストと仕事がしたくて。そうなってくると結局ギャラリーしかないんですよね。それでもう自分でギャラリーを開けようと。26歳の時に準備して、開けたのは27歳の時ですね。
5. 仕事以外で好きなことは?
本当に暇な、1日まるまる開けば釣りに行きます。船で出てって海釣りをするんですけど。友達と行く時もあるし、本当に一人で行く時もありますね。一人で黙って考える時間みたいなものが、普段オフィスにいる時はオフィスの環境で、なんかルーティンになるんですよね。環境を変えて、自分の目の前の仕事じゃないことを考える時間みたいなのを、釣りをしながら考える。基本的には釣りのことを考えているんですけど、隙間隙間で違う思考になるんで。その時に割と長期的な計画を考えたりするのに良かったりしますね。
6. やめられないことは?
難しいな。やめたいことはいっぱいあるけど(笑)。運転? クルマを運転するのは好きじゃないですけど、クルマの中に一人でいるのは好きなんですよ。いつもぼーっとしたり、キョキョキョロしたりするんで、よくぶつけるんですけど(笑)。みんなに「運転やめろ」、「誰かに運転してもらえ」って言われるけど、誰かがクルマにいるのは、それはそれでなんか居心地悪いんですよ。天邪鬼です。運転嫌いなわけじゃないけど、いつも事故るイメージがあって、怖いんです。だからノロノロ運転です。スピード出すのは興味がなくて、デカい空間が好きなんで、ワゴンとかSUVばっかりです。
7. NANZUKA以外で、世界で一番好きなアートスポットは?
難しいな、どこだろう。アーティストのスタジオはみんな好きですけど。「世界で一番好きな場所」かぁ、そういうのを作りたいんだよね。好きな場所っていうか、ロンドンのナショナルギャラリーの、ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」の元絵、下絵のデッサンというかスケッチの白黒の、それも結構でかい作品なんですけど、油絵のサイズと同じくらい。それが飾ってある部屋がすごい暗いんですよ。ほぼ個室みたいになってて。昔は結構空いていたんですよ、僕の若い頃は。今はすごい混んでて人だらけなんですけど。そこに行くとなんか、アートにドーンと感動した、高校生だったと思うんですけど、その時の衝撃みたいなのが今でも残っていて。それを観に行くと自分の初心に還るというか、聖地的な感じ。まあ、その作品がすごいんですけど。
8. もし会えるなら、会ってみたいアーティストは?
うーん、(歌川)国芳とか面白そうですね。すごい奇抜な作品をいっぱい描いているじゃないですか。あの時代に、まさに“奇想”っていう感じのイマジネーションって、相当遊び心があって、さらにクリエイティブじゃないとああいう絵って(描けない)。前例があまりないところからポーンとああいう作品を作ってたと思うので。多分人もすごい面白いと思うんですよね。だから会えるんだったら会ってみたいですね。多分すごい傾奇者というか、とんでもない人だったと思うんですよね。
9. いま注目している国は?
タイです。クリエイティブとか表現の自由度とか、社会の寛容性みたいなものが。もともとアートとか文化っていうのは、歴史的に昔からアートとか文化が強い地域の方が深さがやっぱりあるんで。そういう意味では東南アジアはまだまだ現代の新しいアートがまだ弱い地域ではあるんですけど、歴史を遡れば相当深い文化があるところなんで、今後タイとかインドネシアは伸びてくるだろうなと思いますね。で、タイはアートに対しての環境がまだ整備されてなかったところに、最近大きな美術館が出来たり、ギャラリーもちょっと出来てるんですけど、今世界のアートに対しての寛容性、寛容度っていうのかな、それを考えた時に、結果的にかもしれないですけど、タイはおそらく一番自由なんじゃないかなという気がしていて。それは性の問題もそうだし、逆にアートに対してアカデミックなマウントをする人たちがあまりいないから、若いアーティストが伸びるっていう環境もある気がするし。
10. アートの面白さを一言で言うと?
アートがなければ、人間の歴史ってかなりつまんないと思うんですよね。アートだけがほとんど無価値のものから価値を創造していて、それって人間以外の動物、哺乳類を見るとそれはしないし、なんかそれをありがたがる人間って、それが人間の価値というか言うか、それが一番面白い、大事なところかなと思っていますけどね。
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Profile
南塚真史 | Shinji Nanzuka
1978年東京生まれ。2005年にインディペンデントなコンテンポラリーアートのギャラリー NANZUKA UNDERGROUNDを設立。田名網敬一、空山基、山口はるみ、佐伯俊男らを再発掘し、世界中から評価を得る。2021年6月に原宿に NANZUKA UNDERGROUNDを移転。2024年11月、上海にNANZUKA ART INSTITUTEをオープン。様々な形でファッションとアートの取り組みも積極的に行なっている。
https://nanzuka.com
https://www.instagram.com/nanzukaunderground/